抗真菌薬の種類

ポリエンマクロライド系抗真菌薬

ポリエンマクロライド系抗真菌薬は真菌に対する治療薬であり、アゾール系、キャンディン系などの系統のひとつとなります。真菌はカビの専門的な名称で、空気中にも存在していますが、体内にも様々な菌種が存在しています。真菌が感染しただけでは症状は現れませんが、抗生物質を服用して免疫力が低下したり、体力低下、疲労などによって一時的に体調不良に陥ると、真菌が活性化して増殖することがあります。こうした症状を治療するために使用されるのが、真菌にのみ効果を発揮する抗真菌薬です。ポリエンマクロライド系抗真菌薬はポリエン系抗生物質とも呼ばれ、真菌の細胞膜を構成する物質のエルゴステロールに結合し、細胞膜に穴を開けることで細胞内の成分を漏出させ、真菌を死滅させるように殺菌的な作用を示します。ポリエンマクロライド系抗真菌薬の主要成分は、ナイスタチン、リポソームアムホテリシンB、アムホテリシンBがあり、基本的に塗り薬はありません。適応するのはカンジダ、クリプトコックス、アスペルギルスの深在性真菌症に関わる真菌で、飲み薬または注射によって治療を行います。強力な抗真菌活性をもちますが、飲み薬では体内にほとんど吸収されない性質を持つことから、飲み薬の適応は消化管のカンジダだけになっています。同一成分の注射薬によって、全身性の真菌症に対応しますが、抗真菌作用は濃度依存となるため、年齢や症状により適宜増減され、選択毒性が低く副作用も強いことからあまり使用されることはありません。飲み薬であれば、体内に吸収されにくいことから副作用は少ないですが、発熱や発疹などの過敏症、腹痛、下痢、胃痛などの消化器系の症状が現れることがあります。

イミダゾール系抗真菌薬

抗真菌薬にはイミダゾール系やキャンディン系など、作用機序によって複数の系統が存在し、真菌に対して多様な反応を示すようになっています。イミダゾール系はトリアゾール系と含めアゾール系抗真菌薬とも呼ばれ、古くから使用されている真菌症の治療薬のひとつです。イミダゾール系として1970年代に初めて登場したのはクロトリマゾールで、強い殺菌作用と幅広い抗菌スペクトルで、すぐさま抗真菌薬の主流となりました。その後にもミコナゾール、ラノコナゾール、ルリコナゾールと様々な成分が開発され、現在でもイミダゾール系は主流の抗真菌薬となっています。作用としては真菌の細胞膜であるエルゴステロールの生合成を阻害することで、真菌の発育を抑えて殺菌的な作用を示します。水虫の原因となる白癬菌だけでなく、カンジダや癜風にも良く効くことから様々な表在性真菌症に使用されます。イミダゾール系は飲み薬や注射薬もありますが、ほとんどが塗り薬となっており、医師の処方薬の他にスイッチOTC薬としてドラッグストアなどでも市販されています。塗り薬では皮膚に浸透するだけで体内まで吸収されることはなく、全身に成分が広がらないことで副作用のリスクがないのが特徴です。新しいタイプのルリコナゾールは、即効性に優れこれまでの水虫薬では6ヶ月は治療期間が必要とされていましたが、殺菌的な作用が早く効くことから半分ほどの治療期間で済みます。また、皮膚の角質層に溜まりやすく1日に1回の塗布で済むというメリットがあるため、仕事中に何度も塗り直したり、塗り忘れから治療が遅れるといった問題も少なくなっています。イミダゾール系抗真菌薬はこれからも進化していく可能性があり、今後も主流として多くの人に使用されるでしょう。

トリアゾール系抗真菌薬

真菌感染症は水虫やカンジダ症に代表される比較的よく知られている感染症であり、白癬菌やカンジダ菌などの真菌が原因となって発症します。水虫は古くから不治の病ということも言われていたほどに治療が難しい病気であるという理解がなされてきましたが、それは有効な治療薬が開発されていなかったからでした。しかし、近年になって有効性の高い抗真菌薬が市場に登場してきたことにより、水虫を含む多くの真菌感染症は完治できるものとなっています。
トリアゾール系抗真菌薬はその代表的なものであり、多くの真菌感染症の治療に用いられています。トリアゾール系抗真菌薬は真菌の増殖抑制を行うだけでなく、殺菌的にも働くというのが強力な面であり、それによって真菌を完全に根滅させることが可能になっています。トリアゾール系抗真菌薬が真菌に対して作用するメカニズムはエルゴステロールの合成を阻害することによります。エルゴステロールは真菌が細胞膜の成分としてもっているものであり、人の場合にはエルゴステロールを必要としません。そのため、真菌に特有のエルゴステロールの合成を抑制することにより、真菌が増殖する際に必要なエルゴステロールを減らしてしまうことによって増殖できなくしてしまうことができます。こういった真菌に特有の機構をターゲットとしていることから、副作用が少ないというのがトリアゾール系抗真菌薬のメリットです。真菌を根滅するためには長期間の使用をすることは避けられないため、その間に副作用が出てきてしまうと治療を続けにくくなってしまいます。しかし、副作用が少ないトリアゾール系抗真菌薬を用いればそういったリスクが低く、完治に向けて治療を続けていくことができます。